新人類の少女

新人類
7日目になった、次々と死者が出ていた。
テレビはこの話でもちっきりだった。
エビーの友達だと言う人がテレビに出て部族の事を説明していた、たぶんエビーの交際者の中のひとりだろう。
永田のことはマスコミはまったく知らないみたいだった。
エビーは少し余裕ができたようだ、もう、救助活動は大規模になっていてエビーが動き回らなくてもいいのだ。
永田はエビーと一緒に毎日現地に行っていた。
離れた所にテントが建てられていて、死者はそこに安置されていた。
しかし、死者が増えると、このままにできなくなった。
葬儀をすることになった。
救助隊から数人が葬儀に参列した。
エビーは救助隊の人と永田に葬儀の方法を簡単に説明した。
彼らは風葬だ、墓地があって、そこに置いておくのだ、遺体は時間が自然に戻してくれる。
超能力で遺体を宙に持ち上げ、行列して墓地まで運ぶ、本来だったらこの行列には部族の全員が参加するのだが
わずか5人の寂しい行列だ。
墓地に着くと、遺体を草の上に置き、祈りを捧げる。
最後にエビーがベリクに名前を刻む。
「私が、これに書くことがあるなんて、思わなかった」
これを死者1人1人行う、
やがて、救助隊の人は忙しいので、救助活動の方に戻り、エビーと永田と2人で葬儀をした。
こんなにも死んだのかと思うような回数おこなった。
族長の葬儀もおこなった。


しかし、この日から死者は減り始めた、容体が安定するものも出始めた。
9日目
夜、エビーと永田は星空を見ていた。
ベリクに記録するため、火星、木星、土星の位置を調べるのだ。
「どれが火星?」
とエビー
永田は本を懐中電灯で見ながら
「たぶんあのあたり」
星空に関心のない永田にはまったくわからい
「あの、明るい星かな」
エビーは下を向いてじっとしている
「どうしたの?」
「心で火星を見ているの」
びっくりだ
「テレパシーで星まで見えるの?」
「テレパシーとはちょっと違う、探知かな」
しばらくして
「あれかな、なんとなくわかる」
「すごい、火星の表面とか わかるの」
「それは、目でみるのと同じ、小さな点にしか見えない、ただ、距離がわかるの、だから火星は浮き上がって見える」
エビーはベリクに火星の位置を記録した。
次は木星ね、木星はどっち
「ちょっとまって」
永田は本を懐中電灯でみる
こうやって、木星、土星の位置を記録した。
「そのベリク、ほかの部族も持っているの」
「みんな持っている、これは宝物よ」


もう死者はでなくなった、みんな少しずつ回復していった。
結局、死んだのは40人、60人が助かった。
エビーの家族は全員助かった。

人間と彼ら部族との交流が始まった。
エビーはみんなに息を止める方法を指導している。
新しい族長が決まったので永田はベリクを新族長に返した。
また、彼は、部族との窓口役として役所に就職できた。
もちろんエビーと婚約した。

就職の報告に杉浦先生に会った、帰り際
「あ、これ、エビーに渡してくれる」
杉浦先生が紙切れを渡す。
「なんですか?」
いや、知らない、エビーにたのまれて天文学の先生に聞いた結果だ。
見てみると

火星、木星、土星がこの位置にある一番最近の年
      12149年前

と書いてあった。





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