次は
一番の問題点、宇宙背景放射についてです。
宇宙背景放射とは宇宙のどの方向からもほぼ均一にやって来る電波の事です。
この宇宙背景放射の発見により定常宇宙論は敗退し、ビッグバン宇宙論が勝利を収めました。
この宇宙が定常宇宙だと主張するならば、この宇宙背景放射がある理由についてきちんと
説明できなければなりません。
まずは、歴史的経緯を少し書いて見ましょう。
今から50年くらい前は、宇宙は定常なのか、それともビックバンが起きたのか、
激しく論争していました。
しかし、この背景放射が発見されると一気に形勢が決まりました。
ビックバン側はこれを宇宙が晴れ上がった時の名残だと説明したのです。
しかし、定常側はこれをうまく説明することが出来ませんでした。
当時、宇宙には目に見える物質しかないと考えられていました。
つまり宇宙の真っ暗に見える所には物質はないと考えられていたのです。
そうすると、物質がないところから電波がやって来る理由が説明出来ませんでした。
苦し紛れで宇宙のチリに恒星の光が散乱したものだと説明したのですが、無理でした。
こうして現在ではビッグバン理論が正しいとされています。
しかし、あれから50年(誰かの常套句?)
現在では宇宙には暗黒物質がある事が知られています。
しかも宇宙を構成する物質の95%もが暗黒物質なのです。
目に見える物質は宇宙の5%くらいだと言われています。
こうなると宇宙の真っ暗な部分、昔は何もないと考えられていた部分にも当然暗黒物質があります。
少なくとも我が天の川銀河の周囲には天の川銀河の質量の95%をも占める
暗黒物質が大量に取り巻いているはずです。宇宙の真っ暗に見える所にも大量の暗黒物質があるのです。
だとしたら、宇宙の真っ暗に見える部分から電波がやって来ても何も不思議はありません。
黒体ふく射と言われる現象があります。
すべての物質はその温度に起因する電波を出す現象のことです。
私達人間も体温に起因する電波(赤外線)を出しています。
当然、暗黒物質にも温度はあるでしょうから、この温度に起因する電波を出しているはずです。
もし、この暗黒物質の温度が2.725Kなら、ちょうど背景放射と同じ電波が出るのです。
この暗黒物質は天の川銀河の周囲をほぼ均等に取り巻いているでしょうから、
我が地球から見ると宇宙のどの方向からも均等に2.725Kに相当する電波が来るはずです。
この電波は黒体ふく射の原理で発生するものですから、
ほぼ完全な黒体ふく射の条件を満たしているはずです。
つまり宇宙背景放射そのものです。
この場合は特に私の定常宇宙論ではなくても、あの論争が現代でも続いていたら定常宇宙論派は
いとも簡単にこの背景放射の理由を説明できたと思います。
そして、ここで少し不思議な話をしてみます。
暗黒物質がある以上、暗黒物質のふく射による電波は必ず存在します。
ビッグバン理論は宇宙の腫れ上がりの名残の電波があると主張したのですから、
この暗黒物質のふく射による電波以外にもう一つ電波が必要になります。
しかし、現実には電波は1種類しか観測されていません。
どうなっているんでしょう????